北芝電機(本社:福島市 取締役社長:安藤 秀泰)は、CO2排出量削減などの環境負荷低減や防火・防災性に優れた特徴を持つ菜種油入変圧器を販売しておりましたが、この度、累計納入実績500台(6.4GVA)を達成しました。
菜種油入変圧器は、将来的に枯渇が懸念される石油由来の鉱物油ではなく、植物油を使用する事から、製品・サービスのライフサイクル全体(資源採取―原料生産―製品生産―流通・消費―廃棄・リサイクル)を評価する手法であるライフサイクルアセスメントの視点において、より環境に配慮した製品に位置付けることが出来ます。
北芝電機は、2009年から菜種油入変圧器の受注を開始し、2010年に3台の変圧器を出荷しました。その後、市場では環境負荷低減に対する関心や需要が徐々に高まり、2019年3月、福島県にある本社敷地内に国内初となる植物油入変圧器の専用工場を竣工し、現在では同本社工場から出荷される変圧器・リアクトルのほとんどが菜種油を使用したものとなっています。
初出荷から現在までに使用した菜種油は累計約5,000キロリットルと、現在国内で最も多く変圧器用絶縁油に菜種油を使用しているメーカーで、菜種油のライフサイクル全体のCO2排出量は鉱油系絶縁油に比べて85%削減(※1)と大幅に少ない事から、カーボンニュートラルに大きく貢献しています。
菜種油などの天然エステル油は、カーボンニュートラルによるCO2削減効果の他に、鉱油に比べて引火点・燃焼点が高いという特徴があります。このことから2023年3月には、消防庁から、絶縁油に燃焼点が300℃を超える植物油を採用し一定の条件を満たした場合は、特殊消火設備(不活性ガス消火設備、ハロゲン化物消火設備又は粉末消火設備)に代えて大型消火設備を設置して差し支えないとの通知が出されました(消防予第205号)。この規制緩和により、変圧器の絶縁油に菜種油(燃焼点300℃超過)を使用することで、電気設備を設置する施設の消火設備費用を抑制できることが期待されます。
これらの背景から、国内の変圧器メーカーでも菜種油や大豆油の天然エステル油を採用する動きが徐々にでてきており、CO2削減や消化設備費用抑制等のメリットから、今後、国内の絶縁油における植物油のシェアが高まっていくことが予想されます。
現時点における国内の菜種油入変圧器の大半は北芝電機で製造されており、福島県の本社工場から多くのお客様のもとへ出荷されています。2010年に初出荷をしてから12年余り、北芝電機は、国内で最も多くの菜種油変圧器を製造してきたメーカーとして蓄積されたノウハウを活かし、メンテナンスを含めて、環境負荷低減と高い安全性を志向されるお客様のニーズに応えていきます。また、今後も2050年カーボンニュートラルの実現に寄与する製品開発を積極的に進め、世界的共通課題である環境負荷低減に貢献してまいります。
【※1:菜種油入変圧器の環境効果】
株式会社かんでんエンジニアリング
「菜の花生まれの環境にやさしい絶縁油 サンオームECO」情報より
<http://www.kanden-eng.co.jp/special/so_eco/feature/>
■カーボンニュートラル効果によるCO2削減
アブラナが生育時に光合成でCO2を吸収するため、菜種の生育~油の精製~焼却まで、ライフサイクル全体のCO2排出量が鉱油系絶縁油に比べて85%減と大幅に少なく、地球温暖化防止に貢献する。
■土壌汚染防止(サンオームECOの生分解性)
万が一の漏えい時でも、菜種油の生分解性は鉱油より高く、環境汚染防止が
図れる(生分解性試験OECD301C 28日間 菜種油:89%、鉱油:17%)
【参考:画像(菜種油入変圧器):定格 20MVA-64.5kV-6.9kV】
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